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専門家「風景」をつくるガーデニング術

県立奈良高校・創立100周年記念事業・中庭プロジェクト、その10(工事編:プラトン・アリストテレス像のお引越し)

居場英則

僕の母校である、県立奈良高等学校の創立100周年記念事業でつくる中庭プロジェクト。

徐々に出来上がっていく中庭の様子を、ランドスケープアーキテクトの視点でご紹介していく企画、

工事編も10回目となりました。

今回の記事では、奈良高校の「原風景」とも言える「プラトン・アリストテレス像」の移設工事が

いよいよ始まったという内容になります。

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こちらは、僕たちが高校生時代に通っていた、県立奈良高校の旧校舎(法蓮校舎)の中庭の在りし日の風景です。

校舎に囲まれた中庭の中央に立つのが、奈良高校の創立50周年記念事業でつくられたプラトン・アリストテレス

立像です。

現在は、新校地(朱雀校舎)に移転して、このプラトン・アリストテレス立像も、一昨年(2022年)11月21日に、

新校地の玄関前に仮設置する形で移設されました。

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こちらは、今回の創立100周年記念事業として、新校地(朱雀校舎)につくられる中庭の完成予想図です。

旧校地(法蓮校舎)の中庭の約2倍ほどの広さがありまして、その中庭は楕円構造を持ち、

2つある焦点の1つの位置に、設置するデザインとしています。

※ 詳しいガーデンデザインの計画内容やコンセプトは、バックナンバー記事(その2、計画編)をご覧ください。

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プラトン・アリストテレス立像が設置される場所をクローズアップしてみた完成予想図がこちら↑。

中庭奥の植栽スペースの前に、R(円弧)状の壁面を背に抱える形で、4段の階段の上に立像が設置されます。

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実は、奈良高校・創立50周年記念でつくられた「プラトン・アリストテレス立像」は、

ルネッサンス期の画家、ラファエロがバチカン宮殿内に描いた「アテネの学堂」という絵の中心人物である、

プラトンとアリストテレスを切り抜く形で立体化(彫刻化)され、つくられたものでした。

今回の創立100周年記念事業でつくる庭は、このプラトン・アリストテレス像の移設を伴う計画ですが、

50年前につくられたガーデンをそのまま復元・再構築するものではなく、100周年に相応しい

新たなデザインで再構築しています。

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こちら↑が、創立100周年記念事業でつくる中庭の平面図です。

四方を校舎で囲まれた中庭の西側(図面では左側)に、プラトン・アリストテレス立像を設置します。

立像の後方には、校舎西棟へとつながるサブアプローチを設けています。


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こちら↑の写真は、まだ工事着工前の様子ですが、校舎西棟1階には、トンネル状の穴(開口部)があり、

ここを抜けて校舎西側のプールへもアプローチできます。

校舎西棟2階には図書室があり、かつては中庭から直接、図書室へとアプローチできる屋外階段が設置されています。

現在は、この屋外階段は使われておらず、鉄骨部材にも錆が目立つなど、景観上はあまり好ましくないものです。

また西側通路(トンネル部分)も、どちらかというと「裏」的な場所であるので、これらの存在感を

極力軽減するために、プラトン・アリストテレス立像の後方に、R(円弧)状の壁を設けています。

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ここからは、工事の様子をレポートします。

プラトン・アリストテレス立像の後方に立つ、R状の壁面の配筋工事が始まりました。

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続いて、コンクリートを流し込むための型枠も設置されました。

今回、このR壁の手前側(立像側)には、ボーダータイルを貼る予定ですが、

裏側はコンクリート打ち放し仕上げとなりますので、型枠の仕上げはとても重要になります。

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校舎の上から、型枠施工中のR壁を見下したところです。

R壁の高さは、約1.8mありますので、結構な存在感があります。

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こちら↑は、西側のサブアプローチから見たR壁の様子です。

両側に植栽帯の土留め擁壁があり、その奥中央にR壁が見えています。

まだ型枠段階ですが、中庭への視界を遮る役目も担っています。

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R壁にコンクリートが打設されてから数日後、型枠が外されました。

まだ、コンクリートに多くの水分を含んでいるため、濃いグレー色をしています。

これから徐々に水分が抜けて、白くなっていきます。

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R壁を横から見たところです。

緩やかなカーブを描く壁面の様子が分かると思います。

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R壁の裏側下部に、少し段差のある窪みが見えると思います。

こちらには、創立50周年記念の際につくられた「建造の記」が記された銅板を設置する予定になっています。

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このあたりが、昨年(2023年)末の中庭の状況でした。

スタンドベンチが完成し、ロックガーデンの石が配置され、立像後方にR壁も完成しました。

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中庭へと入る校舎東棟の昇降口付近から、西方向、中庭の正面を見たアングルです。

正面奥に、コンクリート製のR壁が立ち上がり、その手前には中央広場のスペースが見えてきました。

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こchぎらは、中庭の南から校舎北棟(本館)方向を見たアングル。

写真右側に中庭へとアプローチできる昇降口があり、左側にプラトン・アリストテレス立像が設置されるR壁が

見えています。

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まだ出来上がったばかりで、コンクリートむき出しのままのR壁を真横から見たところです。

R壁の手前(右側)に半円形の段差が姿を現していますが、こちらに4段の円形階段が設置されます。

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その立像前の円形階段の施工が始まりました。

土台の上に、コンクリートを流し込んでいるところです。

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R階段の基礎ができた後、円形階段の形をつくる、型枠が設置されているところです。

このような円形の型枠が組まれていきます。

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コンクリートを流し込んでも、型枠がずれないように、斜めに補強材が組まれています。

傘のような形をしています。

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そして、円形階段部分にコンクリートが流し込まれました。

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中庭全体を校舎の上から俯瞰で見たアングルです。

中央広場に多角形の図形が見えてきています。

楕円の2つの焦点から伸びる線を表現したものです。

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R壁前の円形階段の型枠が外されていくところです。

この後、この上に御影石を貼って仕上げていく予定です。


【 2024年1月10日 】

いよいよ、この日、プラトン・アリストテレス立像が、この中庭へと移設されます。

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プラトン・アリストテレス立像が設置されるのは、円形階段の最上段になります。

立像の後方のR壁は、後方の校舎の1階部分を遮り、存在感を示しています。

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立像移設前の緊張感あふれる現場の様子です。

立像が設置される場所に立っておられるのが、現場監督のTさんです。

昨晩は、無事立像の移設ができるか心配で、よく眠れなかったとおっしゃってました。

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こちらは、一昨年(2022年)11月に、旧校地(法蓮校舎)の中庭より移設されて、

新校地(朱雀校舎)の正面玄関前に仮設置されていたプラトン・アリスとテレス立像。

すでに、前日までに台座部分は切り離されている状態でした。

万一の地震などがあった場合に、転倒しないよう、単管パイプで支えがされていました。

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移設工事直前のプラトン・アリストテレス立像です。

天を指すプラトン(左側)と、地を抑えるアリストテレス(右側)が、いよいよ中庭へと移動します。

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ユニック車のクレーンで立像が吊り上げられ、トラックに載せられます。

職人さんたちの慎重に作業をされています。

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トラックの荷台に載せられたプラトン・アリストテレス立像。

このあと200mほど離れた中庭へと運ばれますが、運搬中に倒れないよう、紐で固定しているところです。

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立像が撤去されたあとの様子。

後方の緑色の壁に取り付けられているのが、50年前につくられた際の『建造の記』を記した銅板プレートです。

こちらも、この後、中庭のR壁へ移設される予定です。

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ゆっくりと校内を走り、中庭へと到着したプラトン・アリストテレス立像。

損傷等がないか、現場監督がチェックされています。

この後、右側のR壁を跨いで、壁の向こう側へ設置されます。

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再度、プラトン・アリストテレス立像に玉掛けし、クレーンで吊り上げます。

今回の中庭工事の中で、最も緊張感が高まる瞬間です。

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ちょうど、学生たちの授業の合間を狙って移設作業が始まりました。

学生や先生方も、教室や廊下から様子を眺めていました。

ゆっくりと吊り上げられたプラトン・アリストテレス立像が空を飛んでいる瞬間です。

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無事、R壁を跨いで、壁の手前側の設置位置へと下されていきます。

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円形階段の最上段の中心に、立像は設置されます。

前後・左右の傾きなどを見ながら、コンクリートブロックの台座の上に置かれました。

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安定を確認して、釣り下げフックが取り外されました。

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再度、細かく寸法、傾きなどを微調整して、最終的な設置位置が決まりました。

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仮設のコンクリートブロックに、急結コンクリート(速乾性のコンクリート)を使って固めます。

コンクリートブロックは、このあと流し込まれるコンクリートと一体になるので、そのまま埋め込んでしまいます。

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立像(ブロンズ製)の台座部分と円形階段をより強固に固定するため、鉄筋が差し込まれました。

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R壁の前、円形階段の最上段に設置されたプラトン・アリストテレス像です。

R壁との関係、中庭全体とのスケール感もイメージしていた通りでした。

このあと、R壁には青丹色のボーダータイル、円形階段には御影石を貼って仕上げていきます。

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立像を円形階段に固定するために、台座部分にコンクリートを流し込んでいきます。

その際、コンクリートが付着して汚れないように、プラトン・アリストテレス立像には、ブルーシートが

巻かれました。

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そして、ベース(台座)部分に、コンクリートが流し込まれていきます。

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仮設置されていた正面玄関前の小壁には、銅製の『建造の記』プレートが設置されていました。

こちらも、旧校地(法蓮校舎)から移設(仮設置)されていたものです。

これを立像と同じく、中庭へと移設することになります。

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銅板プレートの状態、取り外したプレートが新しい取り付け場所にうまくはまるか、テスト中です。

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中庭のR壁の裏側の窪み部分にぴったりとはまることが確認できました。

銅板プレートの移設は、また後日に実施されることになりました。


今回の創立100周年記念の中庭工事のメインイベントの、プラトン・アリストテレス像の移設も無事完了しました。

このあとは、高木植栽や、楕円構造のもう一つの焦点に設置される『羅針盤』(石板プレート)などの

工事が目白押しです。

いよいよ仕上げ工事に入っていきます。

次回のレポート記事を乞うご期待ください。

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【 奈良高校・創立100周年記念事業について 】

今回の奈良高校・創立100周年記念の中庭プロジェクトは、50年前の創立50周年の時と同じく、

OBOG(卒業生)をはじめとした、様々な方々の寄付によって創られる事業になります。

「奈良高校 100周年記念特設サイト」も、2023年9月1日よりオープンしております。

  [ 奈良高校 100周年記念特設サイト] は、こちら ⇒ 奈良高校 創立100周年 (narahs100th.jp)

 
 創立100周年を機に、ますます発展する奈良高校へご支援いただけましたら幸いです。   

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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