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専門家「風景」をつくるガーデニング術

昭和の作庭家・重森三玲の庭園美術館

居場英則

これまでにない大きな台風9号、10号が通り過ぎ、我が家でも万全の台風対策を行ったので、

大きな被害も出ず、ほっと一安心しています。

少し暑さも弱まり、秋の気配も見え始めてきたように思います。


さて、今回は美しい日本庭園をご紹介したいと思います。

皆さんは昭和の作庭家・重森三玲をご存知でしょうか?

京都・東福寺の方丈庭園(八相の庭)の中でも、特に北庭に苔と敷石でつくられた市松模様の庭の作者といえば、

思い当たる方もおられるのではないかと思います。

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その作庭家・重森三玲氏の私邸が、京都大学のすぐ近く、吉田神社の参道脇に現存しています。

もともと吉田神社の神官の居宅であったものを重森三玲氏が譲り受け、庭を枯山水庭園として

再構築したものだそうです。

現在は、三玲氏の遺族によって、『重森三玲庭園美術館』として管理・運営されています。

文化財保護の観点から、事前予約制で、入場者(見学者)を制限されて公開されているようです。

今回は、数年前にこの庭園美術館を見に行った際の写真をご覧いただきながら、

その素晴らしい庭園をご紹介できればと思います。

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メールか電話で事前予約を行いました。

見学は午前(11時)と午後(14時)の2回で、それぞれ10人程度が

庭園および書院に入ることができます。

こちらは庭園への入口で、公開時間になるまで扉は固く閉ざされていました。

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時間きっちりに、庭園美術館・館長の重森三明氏が開門して下さいました。

いきなり、三玲氏の美しい石組みが目に飛び込んできました。

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庭に入ると、左側に見える大きな建物が書院で、こちらが受付になっています。

まず、こちらの書院の中へと案内されます。

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薄暗い書院の中から、障子越しに主庭が見えています。

まずここで館長の三明氏より、祖父・重森三玲氏や、この庭園についての説明があります。

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ここで思い出すのが、電機メーカーのシャープの液晶テレビ『AQUOS』のテレビコマーシャルです。

もう15年以上も前になると思いますが、一連のAQUOSのTVCMでは、日本の美しい風景を背景に、

女優の吉永小百合さんが、当時最先端の家電であった液晶テレビ「AQUOS」を紹介するというもので、

とても人気があった広告で、印象に残っている方も多いのではないかと思います。

当時の僕は、庭には全く興味がなかったのですが、このテレビCMを見て、作庭家・重森三玲氏を初めて知りました。

この荒々しい青い石の石組みを背景に、超モダンな液晶テレビを配置するという発想に、

とても刺激を受けたのを憶えています。

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ひととおりの説明が終わると、しばし自由見学できる時間が与えられます。

縁側に出て、庭を一望しました。

写真は、超広角の10mmレンズを使って撮影していますが、それでも庭の全貌を写すことはできません。

この主庭は、中央に蓬莱島、東西に方丈、瀛州、壷梁の三島を配した枯山水庭園となっているそうです。

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アングルを変えて、縁側の端から、入ってきた入口方向を見た写真です。

本庭園美術館の解説によると、

「三玲氏が作庭した数々の寺社庭園や個人宅の庭などに比べた場合、この書院前の庭の特徴は、

住まいとしての江戸期の建築と調和しながら、茶を中心にした日々の暮らしに則している点にあります。」

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写真は、縁側から降りて、庭にしゃがみこんで撮影したものです。

伊予の青石と呼ばれる名石が、大迫力で目の前に迫ってきます。

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再び縁側に登って、カメラを少し左に振ってみます。

白砂の部分が「海」で、盛り上がった苔の生えている部分が「陸(島)」を表現しているとのこと。

絶妙なリズム感を持って石が組まれているように思います。

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写真は、主庭に対峙する縁側部分。

縁側は一枚板のケヤキの木でできているとのこと。

また縁側の下には、波の模様を模した「州浜」とよばれる石でできた

土間がデザインされています。

石と同系色のオレンジ色のモルタルで固められているのが印象的でした。

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書院の縁側をL字に曲がると、主庭から続く東の庭へと導かれます。

こちらにも縁側に沿って州浜がデザインされています。

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東の庭の奥には、重森三玲氏自ら設計した茶室が作られています。

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茶室の前庭、リズミカルに並ぶ小さな飛び石が配置されていました。

遊び心のあるデザインです。

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簾をくぐって、茶室「好刻庵」の内部を見せていただきました。

床の間や掛け軸は撮影禁止でしたが、正面の襖戸は撮影しても良いとのことでした。

桂離宮の襖絵に触発された市松模様の壁紙を使った、波型の意匠が施されています。

庭の州浜と連動するデザインです。

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こちらは、茶室の奥に作られた坪庭。

坪庭は敷石だけの簡素なデザインですが、縁側の手すりの意匠がとても印象的な空間でした。

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1時間ほど、枯山水庭園と書院、茶室を見学させていただいきました。

最後の一枚は、出口から見た主庭の全景です。

書院から正面に見る主庭は、存在感のある青石が猛々しく石組みされた庭ですが、

横から見ると、それぞれの石が天を衝くようにリズミカルに配置されていることが良く分かります。

有名な竜安寺の枯山水庭園とはまた一味も二味も違う、昭和の偉大な作庭家・重森三玲氏のモダンな枯山水庭園。

如何でしたでしょうか?

京都へお越しの際には、事前予約を取られて、是非、重森三玲庭園美術館を訪ねてみてはいかがでしょうか?

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【 重森三玲庭園美術館(重森三玲邸書院・庭園)について 】

   住所:〒606-8312京都府京都市左京区吉田上大路町34

   Tel.&Fax : (075) 761-8776

   E-mail : shigemori@est.hi-ho.ne.jp または shima753@hotmail.com

   ※事前予約については、以下のホームページをご確認ください。

       http://www.est.hi-ho.ne.jp/shigemori/

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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