2023.7.28 / 美しい自然風景
今関わっている長野県白馬村でのガーデンプロジェクト、その現場の合間に、
白馬村近郊の美しい風景やガーデン施設を訪れています。
今回は、現場に近い「白馬五竜高山植物園」をご紹介したいと思います。
結構、たくさん写真を撮って来たので、前編・後編の2回に分けてご案内していきます。
長野県白馬村は、長野オリンピックのスキー関連の大会が行われたスキーの聖地です。
素晴らしい雪質が、世界中のスキー愛好者を惹き付け、冬のスキーシーズンには多くのスキー客で賑わいます。
一方、サマーシーズンは、北アルプスの数々の名峰を目指して多くの登山客が訪れます。
その名峰のひとつであり、日本百名山のひとつであるのが、「五竜岳」です。
五竜岳への登山ルートのスタート地点に広がるのが、「白馬五竜高山植物園」です。
標高1,515mの地点にありますが、麓のエスカルプラザから、五竜テレキャビン(ロープウェイ)に乗れば、
たった8分で天空の植物園に到着します。
訪れたのは、今年2023年の6月下旬。
ちょうどこの日から、五竜高山植物園がオープンになるということで、
朝一番からロープウェイ乗り場に並びました。
多くの登山客と一緒に、一気に標高1,515mの「アルプス平」駅に到着しました。
写真は、アルプス平駅の屋上、「アルプス大展望台」からの眺めです。
この日は白馬村山麓はそこそこ晴れていたのですが、山の上は薄いガスが掛かって、
残念ながら遠くに見えるはずの白馬岳~五竜岳への美しい山並みは見えませんでした。
眼下には、緩やかな傾斜地に、高山植物園が広がっているのが一望できました。
奥に見えるのは、さらに上(地蔵ケルン方面)に登る「アルプス展望ペアリフト」です。
まず最初に眼前に現れたのが、クロユリの群生地。
一見すると、黒花のクリスマスローズのように見えたのですが、これはクロユリの群生地です。
普通のユリに比べると、とても背丈の低く、花も小さいのですが、花の形はしっかりユリ咲きでした。
上から見下ろすと、まさにクリスマスローズのような株姿です。
濃いあずき色のようなシックな花色がとても印象的でした。
こちらは、我が家のガーデンでも育てているミヤマオダマキ。
(花期:6月~7月ころ)
本来は、このような高地に育つ高山植物なんですね。
紫色の花がとても良く目立ちます。
こちらは、プリムラ・セクンディフロラ。(花期:6月~7月ころ)
中国南西部の雲南省、四川省の3000m以上の高地でみられるサクラソウ科の植物。
濃いピンク色の花がうつむき加減で咲く姿がとても可愛らしいです。
自生地の湿原や牧草地では、一面ピンク色に染まるくらい群生するそうです。
こちらは、ハゴロモグサ。(花期:7月ころ)
イングリッシュガーデンで良く使われる「アルケミラモリス」の仲間(バラ科)の植物です。
この品種は、北海道と中部地方の高山帯にのみに見られる日本の固有種らしいです。
花はまだ少し早かったです。
こちらは、パパベル・カンブリクム(メコノプシス・カンブリカ)という
ケシ科の植物です。(花期:7月~9月ころ)
注釈によると、近年のDNA系統分析の結果、後編で紹介する
「ヒマラヤの青いケシ」を含む、ケシ属に分類変更されたそうです。
こちらは、ヒオウギアヤメ(花期:6月下旬~7月中旬)。
平地でよく見かけるアヤメですが、こちらは標高の高い湿原に咲くアヤメの
仲間だそうです。
葉が扇のように見えるので、この名前がついているそうです。
開花期になると、高山植物園のあちらこちらで群生して咲いているそうです。
白い霧が立ち込める高山植物園。
陽がかげると、少し肌寒くなります。
品種名が分からないのですが、高山植物の標高の低いエリアのあちこちに、
この新芽が赤い植物が群生していました。
ここからは、「アルプス展望ペアリフト」に乗って、約10分、さらに標高の高い「地蔵ケルン」を目指します。
リフトを降りて、ここから歩いて、標高1,676mにある「地蔵ケルン」に向かいます。
途中、少し霧が晴れて、向かいの山肌が少し見えました。
望遠レンズで撮影すると、こんな感じ。
晴れていたら、もっと美しい山並み風景が、目の前にパノラミックに広がっていたことでしょう。
浅い霧の中、五竜岳へと向かう登山道を「地蔵ケルン」に向かって歩きます。
本格的な登山経験はありませんが、地蔵ケルンまでは、
そんなに厳しい道ではないので、多くの方がたどり着けるのではないかと思います。
こちらが、標高1,676mの「地蔵ケルン」。
その名の通り、お地蔵さんが祀られています。
本来なら、ここから北アルプスを一望できるはずです。
残念ですが、それはまた次の機会に。
この地蔵ケルンから、さらに上(小遠見山:標高2,007m)を目指す
トレッキングコースもありましたが、
この日は上に行っても眺望が望めそうもなかったので、登るのをやめて、
地蔵ケルンから地蔵沼付近の湿原を散策することにしました。
こちらは、イワシモツケというバラ科の植物。
日当たりの良い岩場に生育し、蛇紋岩という特殊な地質である
地蔵ケルン周辺によく見られる植物のようです。
7月ころに白い花が咲くようですが、花期はとても短いらしいです。
ちらっと先の方に白い花が咲いているのが分かります。
地蔵ケルンから地蔵沼へと向かう山岳道(木道)です。
峰から湧き上がるような風が心地よいです。
霧が晴れてくると、下界の山麓が見えてきます。
麓の植物は、高山植物と全く植生が異なっているのも良く分かります。
地蔵沼に向かってだいぶ降りてきました。
遥か上方に、先ほどたどり着いた「地蔵ケルン」が見えています。
このあたりが、「地蔵沼」と呼ばれる高山帯にある湿原です。
木道の脇に、湿生植物のシダが茂り、その手前には、白馬の麓でもよく見かける、
オレンジ色の花が咲くレンゲツツジが咲いています。
僕の住んでいる関西ではあまり見かけることがない、
この鮮やかなオレンジ色のレンゲツツジ。
白馬に来るたびに目を惹かれます。
こちらは、リフトの脇や、山道の脇など、いろんなところで見かけるウツギです。
鮮やかなピンク色の花を咲かせていて、とても目立ちました。
ウツギも、どちらかと言えば、高山性の植物だったんですね。
こちらは、詳しい品種は分からないのですが、ドウダンツツジのような植物です。
ピンクから紫へと変わる、先のとがった珍しい形の小さな可愛らしい花の蕾です。
開花するとこんな感じで、尖った花先が開きます。
花の咲き方はドウダンツツジとほぼ一緒ですね。
こちらは、園芸品種としても良く見かけるサラサドウダンツツジかと思います。
小さな可愛らしい房咲きの花に、赤い筋が入っているのが、とても愛らしいです。
このサラサドウダンが咲いている様子はこんな感じ。
あまり高山植物帯といった感じはしませんが、ツツジはかなり標高の高い場所でも
行けるんだなという印象を持ちました。
こちらは、「地蔵沼」近辺の湿地ゾーンから、高山植物園に降りてくる
石畳みの道です。
これも蛇紋岩なのでしょうか?
とても味わい深い石でいいなあと思いました。
前編はここまで。
次回は、白馬五竜高山植物園(後編)と題して、この植物園の最大の目玉、
「ヒマラヤの青いケシ」をはじめとする、魅力的な高山植物をご紹介します。
乞うご期待を!
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