2025.10.30 / 花の名所、花のイベント訪ねてみたい名庭園
前回からスタートした、「九州・福岡県久留米市にツツジの庭園を見て回ったレポート記事」の第2回目。
今回は、まず最初に見に行った「久留米百年公園」にほど近い「石橋文化センター庭園」を訪れた様子を
紹介したいと思います。

「石橋文化センター」は、タイヤメーカー・ブリヂストンの創業者・石橋正二郎氏より
「世の人々の楽しみと幸福の為に」と、市に寄贈された文化・芸術施設とのことです。
文化ホール、美術館、石橋正二郎記念館、坂本繁二郎旧アトリエなどが敷地内に点在しています。
特に、久留米市美術館は、前身である石橋美術館の伝統を受け継ぎ「とき・ひと・美をむすぶ美術館」として
開館した、石橋文化センターの中心施設となっています。
それらの文化施設の周辺に、四季折々に様々な花が美しく咲き誇る庭園が整備されています。
今回は「ツツジ」を見に行くのが目的でしたが、ここ石橋文化センター庭園には、もちろんツツジも植栽されて
いるのですが、それ以外の植物も多く植栽されていますので、それらも含めて、このガーデンの魅力を
お伝えできればと思います。
まず最初の写真ですが、石橋文化センターの正面入り口から入ってすぐのところにある、「ペリカン噴水」です。
中央の3羽のペリカン像は、山本豊一氏制作の「三姿」。当初は「ペリカンプール」の愛称で親しまれたそうです。

この庭園を訪れたのが、4月中旬。
レンガ色の外壁タイルが貼られた石橋正二郎記念館を背景に、ピンクや紫色のルピナスの花が満開でした。

ルピナスの花壇に近寄ってみました。
濃いピンク、ピンク、藤色、青紫、赤紫色、白や黄色など、美しい花色のルピナスが群生して、
とても美しい風景でした。

この記念館前の花壇は、おそらく旬の季節の草花を入れ替えるようにデザインされていると思いますが、
これだけのボリュームで、ルピナスだけが植栽されている花壇を見たことがなかったので、
とてもインパクトがあり、心に残る風景でした。

このルピナスの花壇越しに、大きな池があるのが見えました。
地図によると、「花しょうぶ園」があり、その奥は睡蓮、カキツバタなどが植栽されているようです。
池を取り囲むように植栽された高木も見事で、外界と隔絶された美しい庭園となっています。

ルピナスの花壇と花しょうぶ園(池)の間に、もうひとつ大きな花壇が設けられていました。
淡い水色のネモフィラと、ピンクと白いの花のリナリアが、草原のように広がったエリアです。
ここも一面が同じ品種で埋め尽くされていて、とても印象的な風景になっていました。

アングルを変えてもう一枚。
ルピナスと同じような、紫系統の花ですが、ルピナスの花壇のような派手さやインパクトはないものの、
優しさを感じる風景となっています。
その奥には、花しょうぶ園となっている大きな池が広がっています。

こちらが、花しょうぶ園となっている大きな池に面した「ガーデンテラス」。
池の上に張り出すように、ウッドデッキが敷き詰められ、チェアやテーブル、パラソルが備えられています。
とても心地の良い場所でした。
そのガーデンテラスの手前の花壇に、ツツジを見つけました。
八重咲き品種のピンク色の花がとてもゴージャスなツツジです。
品種名が書かれていなかったので、品種名までは分かりませんが、園芸品種だと思います。
このツツジなら、洋風のガーデンにも良く合うと思いました。

こちらは、大きな池に設けられた「花しょうぶ園」。
品種ごとに丸く竹で囲われた花壇が設けられていて、景観的にもとても美しいと思いました。

アングルを変えてもう一枚。
円形の花しょうぶの花壇が、池の縁に並べられ、とても整然としていました。
まだ開花期には早いので、花は咲いていませんでしたが、花のシーズンには、きっと美しい風景となっている
ことと思います。
とても管理の行き届いたガーデンだと思いました。

遠くに石橋正二郎記念館を望む、池の反対側から見たアングルです。
中央の大きな木があるのは、なんと浮島です。

池のほとりには、青紫色の美しいフジの花が咲いていました。
自宅近所の公園のフジの木を、近隣住民で管理するようになってから、フジの剪定がとても気になるように
なりました。
ここ石橋文化センターのフジは、剪定も美しく、咲いた花も乱れず、見事でした。

こちらは、「憩いの森」へ入っていく辺りの花壇の様子です。
斜面に石を積み上げて、ロックガーデン風の作り込みになっています。

同じ場所をアングルを変えてもう一枚。
たくさんの宿根草や一年草を組み合わせた、カラフルなガーデンとなっていました。

ガーデンの奥へ入っていくと、ケヤキなどの大木が鬱蒼と茂る「憩いの森」へと導かれます。
都会の喧騒を忘れさせてくれるような、圧倒的なグリーンのボリュームです。

その一角にツツジがありました。
景石を囲むように、U字型に配置された赤い花のクルメツツジかと思います。
低く刈り込まれていました。

石橋文化センターの最奥エリア、「創造の森ゾーン」には、明治時代後期~昭和初期に活躍した洋画家、
坂本繁二郎の旧アトリエが残されています。
建物の周囲には、赤いクルメツツジが植えられていました。

自然への興味を高め、創造力を育むワークショップやコンサート、アートの作品展示など、
多様な芸術活動の場として活用されているそうです。

こちらは、坂本繁二郎旧アトリエ近くに設けられた「親水広場」。
壁泉から流れ出た水が、両側を石で組まれた小川を蛇行しながら下っていきます。

こちらが、親水公園の最終地点。
浅い水が張られた水盤になっています。

写真の左側はおそらく、桜の木と思いますが、きっと桜が満開になると、それがこの水盤に写り込んで
水鏡のようになるはずです。
これを見て、ひらめきました!
今、まさに手掛けている「京北バラ園」(京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭)の棚田2段目、3段目に新たに設けた、
「バラの滝」ゾーンの下に、これと同じような「水鏡」を作ってはどうか、ということを。
きっと、花の風景が2倍になって、「映える」風景になるはずです。
こちらは、バラ園の横に設けられた親水エリア。
幅広い壁泉と、スイレンが浮かんだ池、そして、その後方に桜の大木。
桜が咲くと、ここもきっと素敵な風景になると思います。

こちらは、バラ園の入口(一番奥の出入口)付近。
訪れたのが、4月中旬だったので、まだバラの開花には早く、全くバラは咲いていませんでした。

石橋文化センターのバラ園は、「香りのバラ園」というコーナーもあり、
香りの高い品種を集めて植栽されているようです。

こちらでは、超早咲き品種の黄モッコウバラだけが一足早くに開花していました。
つるバラの黄モッコウバラは、一旦上に持ち上げられ、枝垂れて咲くような仕立て方になっていました。

こちらは、つるバラをトレリスを用いて、壁面誘引している風景です。
つる誘引の形も美しいです。

こちらもバラ園で、「著名人のバラ園」と名付けられたエリアだったかと思います。
画家などに、著名人にちなんだ名前が付けられた品種を集めたエリアとなっています。
ケヤキなどの高木が、かなり枝を張って、足元のバラ園にかなりの影を落としているように思いましたが、
影響がないのか、開花期にも是非見に来たいなと思いました。

ここも、心惹かれた場所で、おそらくコンクリートで成形されたと思われる、六角形をした花壇が面白いです。
色も、赤茶色に塗られて、奥の建物との調和を意識しているように思いました。

このあたりは、様々な建物(図書館や美術館、カフェなど)が集合してエリアで、
整然としたランドスケープでデザインされています。
高木の足元には、ベンチも兼ねた花壇が設けられ、そこには赤やピンク、白のツツジが植えられていました。

その高木の足元花壇に寄ってみます。
花壇の立ち上がり部分にはウッドデッキが貼られ、ベンチとして活用できるようなデザインとなっています。

その花壇には、地元・久留米のクルメツツジが、深紅、白、ピンクと、
ストライプ状に植えられているのが印象的でした。

こちらは、また別の花壇。
こちらにも、深紅のクルメツツジを外側に、内側には赤紫色と白のツツジが配色されていました。
この深紅のクルメツツジが、とてもインパクトがあり、目を惹きました。

こちらの花壇も同じ3色のクルメツツジを使っていますが、ランダムに配置されていて、
先ほどの同心円型(ドーナツ型)とは違った見え方で、面白いです。(白いツツジは、少し遅れて咲くようです。)

こちらの花壇も面白いなぁと思って見た部分です。
緩やかに湾曲する築山状の石組みの、内と外に様々な植物が植えこまれています。

アングルを変えて見てみるとこんな感じ。
さまざまな花や葉を持つ植物が、うまく共存しています。
とてもセンスを感じる植栽でした。
いかがでしたでしょうか?石橋文化センター庭園。
ツツジの植栽は少なかったですが、それ以上に見どころの多いガーデンでした。
何よりも美しく維持管理されている点に、とても魅力を感じました。
是非、訪れていただきたい庭園です。
次回は、「久留米森林つつじ公園」をご紹介したいと思います。
乞うご期待!
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