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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

Serge Hill & The Barn Garden トム・スチュアート=スミス邸

吉谷桂子

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Serge Hill The Barn Gardenトム・スチュアート=スミス邸

トムとスー・スチュアート・スミスが、10年ちょっと前に、ハートフォードシャーのサージ・ヒルに自分たちの庭を作った様子を描いた本『The Barn Garden』があります。
その本、たまたま私がロンドンにいた時に、ガーデンミュージアムでトムの展覧会が開催され、そこで見つけ購入した本。(本屋に売っていないような小さな本)
そのころから今、また大変な進化。
今日、この同じ土地で、夫妻それぞれの専門分野の融合により、新たな章が描かれることに。
もちろん、トムは国際的に有名なランドスケープデザイナー。そして、スーは精神科医、心理療法士であり、
2020年にベストセラーとなった『The Well Gardened Mind 』以降、園芸療法に力が入った次第。
The Barn Garden  に引き続き、Serge Hill が完成。そこでは、プランツライブラリーのほかに、学習障害のある若者に苗床をベースとした園芸トレーニングを提供。
園芸療法の実践を直接体験したことはトムに大きな影響を与え、夫婦は互いの相補的な関心と専門分野を融合させたといいます。
「私たちがここで持っているものを、できるだけ多くの人々にとって最大のメリットとなるような形で共有したいと考えました」
それがSerge Hill でもあるのですが 短い時間でこのプロジェクトを説明できないのでまずは、

2024年の6月訪問と今年7月の訪問に続き、9月の訪問の様子を。

プロジェクト全体も素晴らしいことなのですがこのガーデンズの中で、季節に対する世界観を見たかった。

3回目となる訪問では、さらに、基本的な庭の維持について....、

今回の担当で案内をしてくれたデレクさんに質問を続けた。

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日本では、根がごついめにはびこって支配的になってしまうので、1度は植えたことがあるのですが今は避けているマクリーア、タケニグサ。

色も形も好きなのですが、自宅の庭でえらいことになって(ススキが増えて困ったのと同様)

そして案外?ブルーサルビア?ブルースパイアーに似たあれは?これも温暖地では結構のさばるあれですが。

耐寒性の点で寒冷地ではどうでしょう?

ここ、昔はローズガーデンと呼ばれていた場所

今はすっかり丈夫なタイプが選ばれた宿根草のガーデンです。

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私は、ピート・アウドルフさんのデザインに代表されるような、ひとつの典型としてのナチュラリスティック・ガーデンとは異なるコンテクストを

トム・スチュアート=スミスさんのガーデンデザインに見ていたので、

そんな視点から手間の掛け方も含めていろいろと聞いてみたかったのでした。

これは私の個人的な考え方ではありますが、自然界のエコシステムと、どの程度折り合いながら?

しかし庭は、それなりに芸術性の高いもの(ある程度人の手が入ることで美的な世界観)で

あるべきと考えているので、ワイルドな感じで自然に従いつつも、どこか必ず意匠的 ではありたい。

「地面から芸術性を生み出す」と言われているトム・スチュアート=スミスさんの基本的なメンテナンスの極意。

みたいなものはあるのか。知りたかったものです。

それから、臆せずこれと思う植物は名前を教えてもらう。

特にスマホで見せてもらったらすぐに激写!

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チオノクロア(キオノクロア) ルブラ トムさんの庭でとても美しかった。

これも私は初めて知りました。知らないものは、まだまだ果てしなくあるけど、

知りたい病が炸裂のこの場所。

IMG_3471.jpegのサムネイル画像

倒れる宿根草の典型!サルビア アズレア。とかその辺りの。

盛んに生育して大株になるので、開花までに数回摘芯して草丈を抑えるのも面倒な

こんなに倒れる品種を入れてるけど、どうメンテナンスしているのですか!?

「倒れることは知ってるから最初から支柱を早めに入れるのだ」

ふーむ!

「金曜日頃には倒れそうと思ったら、月曜日には支柱を入れるのさ!」

なんか感動しました。それだけでも...。


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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