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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

福岡フラワーショーのガーデンコンテスト チェルシーと同じ基準で

吉谷桂子

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3月22日から福岡県福岡市で、福岡フラワーショーが開催されていましたが、本日、3月26日が最終日。

今年福岡へいらっしゃれなかった方にも、興味を持っていただければと、綴ります。

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私自身、昨年のプレフラワーショーに引き続き、今年も多くの事を学んだ 福岡フラワーショーでした。

福岡市の「一人一花運動」は、少しでも多くの市民のみなさまに花や緑で繋がり、それをビジネスのチャンスにも広げていきたいとの思いもあって、私も多いに賛同するところでしたが

その中で、もっとも注目した点が、福岡市の、英国王立園芸協会との繋がりでした。

過去にもチェルシーフラワーショーを見たり経験した日本の企業や行政が、このようなフラワーショーを企画した例は、いくつかありました。

1997年に、私がご依頼を受けた「OSAKA gardening festa」もその一環でしたし、その後2000年から始まった

「国際バラとガーデニングショー」も、最初のヒントは、チェルシーフラワーショーでした。

NHK BS2 でテレビは苦手な私が、「チェルシーフラワーショーのすべて」として2時間の特集番組のキャスターを務めさせていただきました。全くちょっとお恥ずかしいのですが。(今も、テレビはほんとに苦手です:汗)

あのバラショーのあった20年間は、5月がスケジュールの軸になっていた中心になっていたような気がします。

1年中と言っていいほど、5月のバラショーに使うデザインだけでなく植物の入手先を探したり考えたりしていたからです。

とても大変だったので、実は第20回の最終回では少しほっとしたほどでした。

さて、

そのチェルシーフラワーショーの雰囲気やショーガーデンの様子は参考にしながら、

福岡市の福岡フラワーショーは、コンテストにRHS独自のスタイルを完全踏襲。

これが凄いことでした。

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2年前にお話をいただき、それはスゴイ!と、やる気を出してしまった理由は

本国、英国のRHSの協力も得てコンテストを開催....するとのこと。

昨年はプレ・ショーでしたが、

今年の第一回に至っては実際にRHSの副会長や理事がいらっしゃると伺い動悸がしたほどです。。

まさにRHS方式のコンテストを開催するって、すごいことではないですか!?

(下 最終的にBEST IN SHOW 。コンテストのNo.1のガーデンになった 

デイブ・グリーンさんデザインのガーデン。

細かいクライテリアに精密な点数を入れる。

(真剣に必死にじっくりと見て、庭を受け止めた!)

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しかし昨年の段階では、コンテストへの参加周知が、世間、というか、日本中には広まっていない段階でした。

私としては、そこを何とか、日本中のプロの造園家やガーデンデザイナーに参加を呼びかけたいところでした。

国バラの時に、優秀な作家がたくさんいらっしゃったからです。

そして、1年前の今頃は、日本中に、福岡フラワーショーの存在を知る人は、少なかったかと思います。

全国に知ってもらうにはどうしたら良いのか?

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それで去年は、趣味の園芸でも活躍の天野麻里絵さんにお声掛け、それから

主催者側から現地チェルシーでも活躍し、世界中活躍のガーデンデザイナー、

レオン・クルーガさんをお呼びして、書類審査で勝ち抜いたガーデナーのメンターとして、3人のプロが庭づくりを手伝いました。

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福岡の石井康子さん、英理子さん親子をサポートしながら作った「バイオフィリアの庭」

樹齢数百年のオリーブを石井さんが探してきたことも素晴らしい!

庭に関わった全スタッフが情熱と愛で庭づくりに挑みました。

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フラワーショーのサポーターでもあるグリーンワークスのみなさんと。

ドレスカラーがバッチリですね。

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昨年は、初日から、夜も一般に公開し、福岡のミュージシャンのライブも盛んに行われて。

すっかりその音楽を気に入って仲良くなったミュージシャンと天野さんと。

夜のライトアップもデザインの一環だったので、それも見どころでした。

今年は思いつく限り、日本造園連や農大の関係者、造園家の皆さん、ジャパンガーデンデザイナー協会他、考えられる限りの関係者に声をかけたのは、去年の非常に暑い時期だったでしょうか。

予選の段階では、英国からのエントリーも含め、プロからアマチュアまで、30作品以上が集まりました。

そこから最終的に選ばれた英国勢2名、日本人勢3名。(偶然ですが、審査員と同じフォーメーションですね)

応募作のエレベーション・スケッチは、Aiのテクニックの上手な応募作や、手描きで、しかも色鉛筆の、少しタッチの弱さも感じるスケッチなど。

エレベーションスケッチを手描きで描く際は、カラーマーカーや水彩などの発色が確実な着彩が必要です。(色鉛筆だとインパクトに欠ける傾向がある)、Aiエレベーションは、パッションや愛、心が伝わりにくいので、補足を何らかの形で入れておくと良いでしょう。

絵になる植栽計画がわかるような。

私自身。日本では様々なガーデンショーガーデンコンテストの審査員をもう30年近くも関わってきましたから、描かれたスケッチだけで判断する事なく、文面に表された庭への考え方、なんとなく伝わってくるお人柄。さまざまなことでコンテストは選出を行います。

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これが↑「クライアントブリー」にあたります。実際は、もっとたくさんのことが記入された書類になります。

今の時代が抱える問題などを巧みに組み込んだ考え方の作品に重点を置いてチェックをしていきました。

審査の応募作に、絵があまりうまくなくても、庭を美しく作る人がいます。

審査に慣れていないと絵の上手い方や、CGが上手い人に加点してしまいがち。

それは要注意。植物の仕入れ先に精通している人も、庭作りはたいてい上手いはず。

才能の発掘です。

直感的な感覚も総動員して審査をします。植栽の上手なスタッフが確保できる人かどうかも。

株間を詰めがちに植えてしまうスタッフがいると、全部植え直しになることもあるので

余計に時間がかかります。スタッフのプロデュース能力も問われます。

それは、実際の庭でお、ショーガーデンでも、植物の向き、株間には、芸術的なひらめきと技術が必要。

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さて、実際に私たち日本の審査員が、英国側から出されたチェルシーフラワーショーにおける審査方法は

さらに、厳格なものでした。「WOW!!!」でした。

さすがに100年以上も続く伝統です。それらを実際に、実際にRHS副会長の言葉として耳にして,

書類を目にした時は、まさに感動と興奮に包まれた。オンラインのミーティングの夜は興奮して眠れないほどでした。

それと、もっと!早く!   この感じを理解しておきたかった!

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(写真はゴールドメダル。ベストコンストラクション賞。

ピープルズチョイス賞に輝いた藤井宏海さんたちの作ったガーデン)

茅葺小屋が、とにかく、秀逸でしたね。

細かな点では、植栽と石積みに、もう少しの丁寧さや、経験が必要、と、思われましたが、わたしは個人的に一番好きだった庭です。

しかし、コンテストは審査員の好き嫌いで、決定されるものではなく、

そこにはさまざまな厳しい審査基準があります。あくまでも基準に則って決定されます。

当初は福岡スタイルのコンテストの方式があっても良いのかと思っていましたが、

このチャンスに完全にRHSのチェルシー式を完全踏襲することになりました。

そこが素晴らしい!!!そうした結果、RHS審査員の判断に委ねる部分は少なくありませんでしたが

最初は、少しでも反論をしたいと思っていた私は、反論をする余地があまりなく、

「とても残念なのですが、完全に同じ意見です」と、変な英語を使ってしまいました。

一年草の使い方くらいだったでしょうか。日本の気候の独特ななかで、「一年草扱いの植物」を使う必要があったことなど。

以下、こうして私が詳しく綴りますのは、今回のRHS審査基準の書類から、

そのままではなく(ただ基本限りなく同じ)

これまでの何十年で、雑誌の記事用として調べていたものですが

RHSのホームページ他一般的なこれまでの情報に掲載されてるものを収集、その範囲をまとめています。

それらを今、改めて日本語でここに記述しておくことにも意味があるかと思います。

花がさいている、とか、いない。とかではない庭の見方です。そこで

コンテストの審査員を担う中で、責任を持って読み込んだのが

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クライアントブリーフですが、まず

「アセスメント(評価・分析)」評価方法なども含め、RHS方式を理解をしておく。

「9つのクライテリア(判断基準)」9つの要素に分けて加点・減点。そして、一番重要なのが

「クライアントブリーフ(目的や意図の理解)」でした。

これらは、あらゆる分野で企画やデザインに関わる人にとって、欠かせないプロセスであり、考え方です。

目的や意図の理解。何のために庭を作るのか。

その意図を十分に理解して現実にその庭を作ることができたかどうか。

「なんとなく気持ちの良い庭を作りました」では通りません。

しかし、これまでのわたしの人生において、大学でも社会の実践の中でも、ここまで明確に体系化された「考え方」に触れる機会はありませんでした。

そのことに大きな衝撃を受けた5日間でもあったのです。

福岡フラワーショーは、こうした本格的なアプローチを私たちガーデンデザイナーにもし伝えることがしっかりできたならば、これはもう完全にエポック。

でも伝わらないといけません。伝わらなかったらなかったも同然ですよね?

さて、「アセスメント」とは、情報を集めて分析し、課題を見つけ、判断や計画につなげることです。

また、その出発点となるのが「クライアントブリーフ」です。

ガーデンを作る、商品開発をするにしても、編集会議でも、旅行企画でも同じ。

ブリーフは

・なぜ行うのか(目的・背景)
・誰に向けるのか(ターゲット)
・どんな課題があるのか
・何を作るのか(内容)
・予算やスケジュール
・どんな表現にするのか(トーンや雰囲気)

これらを正しく理解し、実現できているかが問われます。

審査は2日間にわたり、RHSの副会長・理事、日本の審査員、そして

未来の審査員であるシャドウ・ジャッジが参加し、非常に丁寧に行われました。

RHSの長い歴史の中で築かれてきた審査方法を、日本の審査員である私たちは、一から学ぶ必要もありました。

9つのクライテリアを理解する中でも、特にクライアントブリーフの実現性が重視され、時間をかけて検証されました。

3D審査と2D 審査の大きな違い。生態環境があっているか?これも厳しくチェックです。

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花がどれだけ美しく咲いているかだけでなく、今や持続の可能性は当然のことながら、

その背景や意図をどれだけ読み取れるか。

これからの時代は、フラワーショーというお祭りの中に、私たちが元気に生きていく上で必要なヒントを様々な形でわかりやすく取り入れていく必要があると感じています。

福岡は大都市です。大きな街の規模で開催されているこのフラワーショーを表層的に見た感じだけで判断するのは、難しいのかもしれません。

ただし華やかな花のお祭りに気分が高揚するだけでも、価値のあることだと思います。

繰り返しになりますが、

アセスメントに始まり、9つのクライテリア、そして最も重要なテーマ理解への能力が問われるクライアントブリーフ。

こうした課題は、すべての職種の企画やデザインをする人々にとって非常に重要。

このように重要な分析方法大学でも、3年間在籍したデザインの会社でも明確にはされていなかった。その衝撃に打ちのめされたような福岡フラワーショーの5日間でした。

すべては英国王立園芸協会 RHSの100年以上にわたるフラワーショー・コンテストの実績によるもの。

それらの目に見えないRHSの本質の部分までを、日本に招聘した福岡市は素晴らしい。

その部分は、物事の本質に到達する以前の、外側を見ただけではわかりませんが、

これからは、私たちがそれを活かして行かなくてはならない。

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(この石組み、安全か?まで、チェック、子供のための庭なので...)

⚫︎「アセスメント(assessment)」とは、物事の状態・能力・価値などを評価・分析して判断することを意味します。

日本語では「評価」「査定」「見立て」などに近い意味で使われます。

アセスメントは、情報を集めて分析し、現状や問題点を判断するプロセスを指します。

繰り返しになりますが...

⚫︎クライアントブリーフをなによりも、最優先に検討

実際にクライアントブリーフを的確に実現できているか?

  • 目的・背景(なぜこのプロジェクトを行うのか)
  • ターゲット(誰に向けたものか)
  • 課題・ニーズ(顧客のニーズや問題を把握しているか)
  • 具体的な依頼内容(制作物や施策)
  • 予算・スケジュール(予算と期限以内に収められるか)
  • トーンやイメージ(デザイン・表現の方向性)

少しでもこのブリーフとズレていると、減点になります。

予算をオーバーすること自体は、昨今恐るべきものの値上がりのあるなか、厳しい問題ですが、甘えも許されない。

そこをアセスメントする。評価する。

  • 状態や能力を評価する
  • 問題点や課題を分析する
  • その結果をもとに判断や計画を立てる

他にも細かな分析課題を明確に分け、その点を一つ一つ討議しながら総合的に判断していきます。

とても時間がかかって、苦しくなるほどでした。時々我に帰って深呼吸していました。

その際に、やはり良い庭では気持ちの良い深呼吸ができたのでした。長くここにいたいなと思わせてくれたのでした。

フラワーショーオープン前の、コンテスト審査は二日間に及びました。

コンテスト・ガーデンは30分づつほど、何度も見直すと見え方が深くなっていきます。

それぞれの検討に非常に慎重にしかも、繰り返し、長い時間をかけて

王立園芸協会 から副会長と理事

そこに

日本勢ジャッジ3人 +シャドウジャッジ

(未来の審査員)

王立園芸協会が長い時間をかけて築いて来た審査方法は 私達は最初から...

イチから学ぶ必要性があった。

長くなってしつこいかもしれませんが

厳格な9つのクライテリアの違いを学びつつ、

9つの中でも、1番大切な

クライアントブリーフについての実現性は 特に時間をかけて検証に検証を重ね。

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(1997年〜) 最高基準の史上最も学びの多い時間でした。

トップ賞をとった庭 ↑↓。実際に見た人から、ポジティブな意見ネガティブな意見いろいろ直接伺いました。

まぁ間違ってはいませんが、3月に開催するガーデンショーで、宿根草を咲かせることにも根本的な無理があるので、そこは理解が必要です。

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パッと見て花がたくさん咲いているかというよりも、読み込む事が重要です。

もちろん、人を立ち止まらせる何か、は欲しいですが。

パッとみて、「地味ね」といってその場を立ち去る方々も、いらっしゃることは承知の上で。

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皆さまも会場に設置してある鮮やかなピンク色のサイン看板を

しっかりと読んでみて、くださいね!そして、その通りに庭が完成しているかどうか?

そしてこれからの時代に必要な考え方がそこにしっかりと組み込まれています。

その点では既に入賞した5作品全て、それが反映されていると思います。

微妙に設計ミスやデザイン上のポイントミスは、スミからスミまで、

完全チェックで徐々に差が開くところにRHS方式の鋭さがありました。

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必ずしも、花が咲いているかということではなく、施工面でも、哲学が貫かれたか。どうか?

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そして、本日最終日 26日発表の コンテストガーデン、ピープルズチョイスは、

ガーデンNo.E 藤井宏海さんによる 

-優しさの芽吹く庭- に決定!

こちらは、ゴールドメダル受賞、Best constraction(最優秀施工 賞)も取っていて、

私としても嬉しい限りです!かやぶき職人さんも

若い女性たちで、若いチームの元気な姿がとても印象的でした。

その「のびしろ」にもゴールドメダルでした。


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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