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専門家「風景」をつくるガーデニング術

県立奈良高校・創立100周年記念事業・中庭プロジェクト、その14(工事編:巨大アーチ・R壁工事)

居場英則

僕の母校である、県立奈良高等学校の創立100周年記念事業でつくる中庭プロジェクト。

徐々に出来上がっていく中庭の様子を、ランドスケープアーキテクトの視点でご紹介しています。

中庭の工事も、いよいよ最終段階を迎えつつあります。

第14回目は、意匠的に重要なアイテムである巨大アーチと、プラトン・アリストテレス立像の後方の

「R壁」と呼んでいる部分の設置工事について、レポートいたします。

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こちら↑は、今回の創立100周年記念でつくる奈良高校の中庭の完成予想CGパースの一部分を拡大した画像です。

創立50周年記念でつくられた「プラトン・アリストテレス立像」を、楕円構造の中庭の「焦点」のひとつに

設置しています。

その立像の後方には、立像を守る(囲む)ように高さ約1.8mの円弧状の「R壁」と呼んでいる意匠壁を設けます。

また、その「R壁」のさらに奥、完成予想CGパースでは、周囲の植栽と同化していて

良く分からないかもしれませんが、高さ4.5mもある巨大アーチを設置する計画としています。

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何度もこのブログでは紹介しておりますが、今回の奈良高校の創立100周年記念の中庭整備プロジェクトでは、

ルネッサンス期の天才画家、ラファエロがバチカン宮殿の中に描いた、こちら↑の「アテネの学童」という絵画が

モチーフとなっています。

50年前の創立50周年を記念してつくられた、プラトン・アリストテレス立像は、

この「アテネの学童」に描かれた中心人物の哲学者、プラトンとアリストテレスの2人を切り取って、

立体化(彫刻)されたものでした。

今回の創立100周年の中庭整備でも、原点ともいえるこのラファエロの絵画に描かれた、

アカデミア「学びの風景インスパイアされた空間をデザインしています。

「アテネの学童」には、プラトン・アリストテレスの周辺には、多くの弟子やギリシャの偉人たちが

描かれていますが、それらの人々を抽象化して空間装置としたのが「R壁」です。

また、プラトン・アリストテレスの後方には、ギリシャ時代の神殿のような高い天井の空間が描かれていますが、

その「アーチ構造」の空間を、模してデザインしたのが、つるバラを誘引するための「巨大アーチ」です。

絵画に描かれたのと同じようなプロポーションで見えるようにするためには、高さ約4.5mの巨大なアーチが

必要になりました。

その特注アーチを制作してもらうために、知り合いのガーデン雑誌者の編集者の方から、栃木県足利市にあ

専門メーカーさんをご紹介いただき、準備してきました。

【 2024年1月19日(金)】

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そして、いよいよこの日、巨大アーチが、奈良高校の現場に運び込まれました。

メーカーの女性担当者のHさんが、知り合いの園芸資材メーカーの社長さんが運転する大型トラックに

巨大アーチを積み込んで、はるばる関東から届けて下さいました。

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巨大アーチは、トラックに積み込みできるよう、トップの半円形の部分と、両側側面の直線部分の

3分割になっていて、それらを現場に運び込んで、現場監督さんが仮組みをしてくださっているところです。

メーカーの方も、これまでにこれほど大きなアーチを作ったことはないとおっしゃっていました。

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仮組みした巨大アーチを、設置予定の場所に仮設置してみることにしました。

現場まで運んで下さった園芸資材メーカーの社長さんも手伝って下さって、

5人掛かりで持ち上げているところです。

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何とか無事、立ち上がりました。

やはり最高高さ4.5mは大きいです!

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西側通路のどの位置に巨大アーチを固定するのか、中庭の中心部から、プラトン・アリストテレス立像越しに

どのように見えるのかを確認します。

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プラトン・アリストテレス立像の真正面から見たところです。

アーチを奥にすれば、奥行き効果によりだんだんと小さく見えます。

ラファエロの描いた「アテネの学堂」に近い、アーチの見え方をする位置に

固定する場所を決めました。

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プラトン・アリストテレス像、その後ろの「R壁」越しに見ると、

さほど大きく見えないアーチも、斜め横から単体で見ると、やはりこの大きさ。

実は、今回仮組み、仮設置した単体アーチが3本、連続するように設置します。

ひとつの幅が約、60㎝あり、それが3本並び、少し間隔を空けるので、

トータルで約2mのトンネル状の空間ができることになります。

その巨大アーチの両側から、大きく育つつるバラを2本、誘引する予定です。

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アーチ設置のための基礎工事を行うため、一旦仮組みしたアーチは分解され、現場の横に仮置きされました。

【 2024年1月30日(火)】

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そして、数日後、現場に行ってみると、巨大3連アーチが見事に設置されていました!

写真は、西側の通路側から見たアングルですが、その巨大さが分かると思います。

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先日の仮組みの際は、1本しか組み立てませんでしたが、

今回の本設置では指定した通りの場所に、指定した間隔を空けて、

3連のアーチが整然と並んでいました。

アーチが3連連なることで、奥行きが約2mのトンネル状になっています。

このアーチの両側から、つるバラを誘引するのですが、数年経てば、

美しいバラの花に囲われたトンネルができる予定です。

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3連アーチを下から見上げたアングルです。

今回の特注アーチの製作では、塗装色を黒か白の2択で選べたのですが、中庭の雰囲気から、白を選択しました。

白いアーチが青空に映えて、美しいです。

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3連アーチの間隔が均等になるよう、設置にあたって、現場の方で木製の桟木のようなものを作ってくださって、

きれいに並行にアーチは設置されていました。

(最終的には、その桟木は撤去されました。)

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巨大アーチを正面から見たところです。

アーチの部材が白いので、背景の校舎の壁と同化して見にくくなっていますが、

将来的には、ここにつるバラが誘引されますので、アーチの形状もより分かりやすく見えてくると思います。

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土盛りをしたロックガーデンエリアから、3連アーチの側面を見たアングルです。

奥行き約2mのトンネル状になっているのがよく分かると思います。

ここを数年かけてつるバラが駆け上がっていく様子をイメージするだけで、今からワクワクします。

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少し引きのアングルで見てみるとこんな感じです。

巨大アーチの両側は、約1mの盛り土になっていて、生駒石のロックガーデンとなっています。

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反対側からのアングルです。

奥に見えている鉄骨階段は、2階の図書館へと上がる屋外鉄骨階段ですが、今は使われていないようです。

この錆の目立つ屋外鉄骨階段の存在感を少しでも軽減できるように、という役割もこの巨大アーチは担っています。

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プラトン・アリストテレス立像と、その後方のR壁、そして巨大な3連アーチが、一直線に並んでいるのが

よく分かると思います。

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図書館に上がる屋外鉄骨階段の上から、中庭全景を見渡したアングルです。

中庭の中央広場もだいぶ出来上がってきました。

今回の巨大アーチが設置されたので、ほぼ構造物はすべて設置されました。

あとは、仕上げ工事と植栽工事を残すのみです。

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この日は、いよいよプラトン・アリストテレス立像の後方、「R壁」の内側局面に、

仕上げのボーダータイルを貼って行く工事が始まります。

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無機質なコンクリート面に、色鮮やかなボーダータイルを貼って行くのですが、

職人さんがまずは下準備をしているところです。

シート状に加工されたボーダータイルを貼付けるためのタイル割りを綿密に行っておられます。

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タイル割りをR壁の内側に描いた後、いよいよタイルを貼って行きますが、その接着剤を塗っているところです。

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R壁の最上段、中央からサイドに向かって、シート状に加工されたボーダータイルを貼っているところです。

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今回貼るボーダータイルには、4色のタイルを使っています。

奈良の枕詞にもなっている「青丹色(あおにいろ)」の淡いモスグリーン色を中心に(全体の約70%)、

水色、クリーム色をそれぞれ15%づつ配合した特注ミックスでシート張り加工を製作してもらっています。

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そして4色めとなるのが、こちらの赤です。

赤は、全体の中でほんのわずかな量をアクセントで入れるため、シート張りの中には含めず単体で使用します。

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赤いボーダータイルは、設置場所を図面上で指示しているのですが、3色ミックス(青丹色、水色、クリーム色)の

シートの一枚を抜き取って、現場で赤いボーダータイルに入れ替えるという方法を取っています。

手間が掛かる手法ですが、そうすることで、赤いタイルをランダムかつ、計画的にR壁の中に散らすことができます。

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プラトン・アリストテレス像も、自らの背景がどんな風に仕上がるのか、興味津々のように見えました。

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シート状のボーダータイルがどんどん貼られて行きます。

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部分的に、赤いタイルに入れ替えを行ってから、シート(紙)を剥がして行きます。

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プラトン・アリストテレス立像後方のR壁の内側の意匠タイル(ボーダータイル)が徐々に仕上がって行きます。

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アップで見ると、こんな感じになっています。

奈良高校の校歌の歌い出しが、「あをによし奈良の春日山近く・・・」となっていることもあって、

「青丹色」を中庭のどこかに使いたいと当初計画から思っていまして、

このプラトン・アリストテレス立像の後方のR壁に使うことにしました。

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プラトン・アリストテレス立像は、ブロンズ(青銅)製であることもあって、緑色のタイルとの相性も良いと

考えています。

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ボーダータイル張りは、意外に時間が掛かるようで、この日の作業はここで終了。

あとにタイル張りは、この段取りで職人さんにお任せすることにしました。

【 2024年2月3日(土)】

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数日後、植栽関係(宿根草)の打ち合わせもあったので、奈良高校の中庭の現場に来ました。

西側の通路から見える「R壁」に変化がありました。

裏側は、コンクリート打ち放し仕上げのままなのですが、その足元付近に、創立50周年記念で設置された

「プラトン・アリストテレス立像/アテネの学堂・竪義の庭 建造の記」という銅製の銘板が、

コンクリート打ち放し壁の凹みに、きれい納められていました。 

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R壁の裏側(中庭側)に回ってみます。

プラトン・アリストテレス立像後方のR壁内側に、ボーダータイルが全面に貼られていました。

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反対方向から見たアングル。

R壁と、立像、そしてその前の円形階段、全体がきれいに仕上がりました。

感無量です!

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中庭中央広場(プラザ)から、西方向、プラトン・アリストテレス立像方向を見たアングルです。

冒頭で紹介した、完成予想CGパースや、ラファエロの描いた絵に近い風景が出来上がりました。

プラトン・アリストテレス立像後方の巨大アーチもいい感じです。

この時、まだ2月だったので、周辺の樹木は落葉していて、少し淋しい気もしますが、

これから新芽が吹き、花々が咲き誇ると、もっと美しい風景になって行くと思います。

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創立100周年記念の中庭整備工事も、残すところわずかになってきました。

現場の「安全第一」の標語が、R壁の後方に設置されました。

(もちろん、工事完成後には、撤去されます。)

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巨大アーチの下の通路(緩やかなスロープ)に、乱張り石の仕上げも出来上がりました。

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西側通路から正面(R壁)方向を見たアングルです。

いよいよ、植栽工事(宿根草、グランドカバープランツ)を残すのみというところまで来ました。

2024年3月末の完成に向けて、あと少し。

素敵な中庭になるよう頑張って行きます。

乞うご期待下さい。

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【 奈良高校・創立100周年記念事業について 】

今回の奈良高校・創立100周年記念の中庭プロジェクトは、50年前の創立50周年の時と同じく、

OBOG(卒業生)をはじめとした、様々な方々の寄付によって創られる事業になります。

「奈良高校 100周年記念特設サイト」も、2023年9月1日よりオープンしております。

  [ 奈良高校 100周年記念特設サイト] は、こちら ⇒ 奈良高校 創立100周年 (narahs100th.jp)

 
 創立100周年を機に、ますます発展する奈良高校へご支援いただけましたら幸いです。   

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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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