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専門家「風景」をつくるガーデニング術

チェルシーフラワーショー2018・レポート(中編) ~コンテスト・ガーデン全紹介〜②

居場英則

【 Artisan Gardens 】

ここからは、「アーティザン・ガーデン」部門の庭を紹介していきます。

フラワーショーの花形となっている「ショー・ガーデン」に比べると、その敷地面積は3分の1ほどの大きさに

なりますが、作り込まれた美しいガーデンが多い部門です。

フラワーショーの会場内の東側、森の中に、それぞれの庭を作るエリアが割り当てられています。


■ The Claims Guys : A Very English Garden

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まず最初にご紹介するのはこちらのガーデン。

「A Very English Garden」と名付けられたこの庭は、美しい石積みが光るガーデンです。

シンメトリックに配置された門柱、植栽など、整然とした様式美がとても際立っていました。

こちらのガーデンは、審査ではシルバーギルドメダル(銀賞)でしたが、

人気投票では、アーティザン・ガーデン部門で一位を獲得した庭です。

イギリス人が好むお庭なんでしょうね。

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同じ庭を門柱の間から真正面に見たアングルです。

ドーム状に組まれた、コッツウォルズストーン(蜂蜜色の石)がとても美しいです。

その石組みの壁面に赤いつるバラが誘引され、この壁面を一層引き立てていました。


■ The Viking Cruises Wellness Garden

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続いて、こちらの庭は、「Wellness Garden」と名付けられた庭で、アーティザン・ガーデン部門では、

石原先生の「おもてなしの庭」と並んで、ゴールドメダル(金賞)を受賞したガーデンです。

「Wellness(健康)」をテーマにした庭で、左側の白木で作られた小屋はサウナで、

その後ろには、露天風呂も作られています。

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こちらが、そのサウナ(右側)と露天風呂(左側)です。

「健康」×「庭」という、ライフスタイルを表現した庭なのでしょうね。

庭とウェルネス装置との一体感はあまり感じなかったのですが、他にはないコンセプトが評価されたのでしょうか?


■ The Supershoes , Laced with Hope Garden , a partnership with Frosts

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続いての庭は、こちら。

まずは、作庭途中の様子から見ていただきましょう。

大きな壁面全体に、前衛的な絵画が描かれ、どんな庭ができあがるのだろうと、とても注目していたガーデンです。

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こちらが出来上がったガーデン。

壁画の手前には、S字型にくねったベンチが設置され、壁画の手前には、ルピナスなどの色とりどりの植栽が

仕込まれ、絵画を引き立てています。

絵画には、様々なメッセージが描かれているのだと思うのですが、難解なコンセプトのように感じました。

シルバーメダル(銀賞)受賞の庭です。

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もう一枚、アングルを変えて撮影したものです。

植栽の中庭、躍動感溢れる子供の彫刻が配置され、カラフルな植栽や壁画と相まって、独特の世界観を

作っていました。


■ The Embroidered Minds Epilepsy Garden

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続いては、こちらのガーデン。

写真は、作庭の様子。

庭をつくっている人も極端に少なく、どんな風に完成するのか、注目していました。

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こちらが、完成した庭。

派手な色の花が一切なく、葉の色や形で、独特の世界観を表現しているようです。

なかなか難解なコンセプトの庭のように思いました。

シルバーギルドメダル(準金賞)受賞の庭です。


■ British Council Garden - India : A Billion Dreams

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こちらは、ブリティッシュ・カウンシルという、イギリスの公的な国際文化交流期間がスポンサーの庭で、

インドがテーマの庭です。

美しいシンメトリックな構成と、随所にインドの伝統的な文様の入った装飾タイルが使われていて、

とても目を惹きました。

シルバーギルドメダル(準金賞)受賞。

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別アングルからもう一枚。 詳しいことは分からないのですが、装飾タイルに描かれた模様と、

ガーデンに植えられた植栽がシンクロしているように見えました。

■ The Warner Edwards Garden

アーティザン・ガーデン部門の一番最後に紹介するのが、こちらの庭。

2人のイギリス人女性ガーデンデザイナーがデザインされた庭です。

僕たちが関わらせていただいた石原和幸氏のガーデンのお隣さんの庭なので、作庭の様子も他の庭より

詳しく分かります。

どんな風に庭が出来上がっていったのか、写真多めで紹介してみます。

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こちらが、作庭初日の様子。

森の中に、ガーデン資材の石や土などが運び込まれていますが、まだ何もない、森の一角です。

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作庭が始まりました。

芝生の上に、境界を作る木が組まれています。

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作庭から数日後の様子。

庭の後方から石が組まれ、大量の土が運び込まれ、その上に、大きな石も設置されています。

フラワーショーの期間だけの仮設の庭ですが、伝統的な技法に沿って、ひとつひとつ丁寧に石が組まれて行く様子を

横から拝見させていただきました。

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雨の中でも黙々と作業が続きます。

女性デザイナーさん(左側)が職人さんたちにいろいろ指示を出されているところです。

ゆっくりとですが、コツコツと庭が仕上がって行く様子を見て、以前に映画「フラワーショー」で見た

女性デザイナーの話とオーバーラップしました。

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こちらが、完成した庭。

イギリスの伝統的な技法によって積み上げられた石組みが特徴的なガーデン。

アンシンメトリック(非対称)の構成で、ナチュラルな雰囲気の漂う、とても好感が持てる庭でした。

シルバーメダル(銀賞)受賞。


■ O-mo-te-na-shi no NIWA - The Hospitality Garden

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こちらは、我らが石原和幸先生の庭。

日本の「おもてなしの心」を表現した庭です。

詳しくは、チェルシーフラワーショーレポートの前編をご覧下さい。

ゴールドメダル(金賞)、並びにアーティザン・ガーデン部門のベストガーデン賞を受賞しました。

続いて、3つ目の部門、【 Space to Grow Gardens 】の記事はこちら


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

個人ブログChange My Garden

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