2021.7. 5 / ネットでオープンガーデン京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)の四季
早いもので、今年も半年が過ぎ、7月に入りました。
7月はいよいよ東京オリンピックも開催します。
我が家の庭はすっかり夏モードになっていますが、今回は前回の続きで、僕がデザインを担当させていただいた
京都市北部の京北地区にあるバラ園、六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)の今年の開花時期の様子をレポートしたいと
思います。
ひとつ前の記事、『京北バラ園2021・前編』では、「今年の見どころ」と称し、今年うまく風景が作れたシーンを
中心に、ご紹介させていただきました。
今回の『京北バラ園2021・後編』では、ここ直近の3年間(2019年、2020年、2021年)の様子を、
ほぼ同じアングルの写真を比較しながら、バラ園の風景の変遷をご覧いただこうと思っています。
というのも、今年は、バラを植栽して4年目で、理想とする風景が作れると大いに期待していたのですが、
4月の遅霜の影響で、主にイングリッシュローズや和バラが、かなり枯れ込んだり弱ったりして、
開花期にうまく咲き揃ってくれないという事態に陥ってしまいました。
自然相手ですので、なかなか思うようにいかないのは常ですが、なんとも残念な年になってしまいました。
そんなことで、来年の春に向けて、今年の反省も含め、うまく行かなかったっところを備忘録的に残しておこうと
思います。
まずは、バラ園のメインエントランスを入った正面から見えるバラ園全景です。
こちらは【一昨年2019年6月】 バラはまだ2年目ですが、足元に植えたブルーのサルビアがとても象的です。
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こちらは【昨年2020年6月】 バラは旺盛に茂っていますが、ブルーのサルビアが弱ってしまい、残念な風景。
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そして、こちらが【今年2021年6月】。
遅霜の影響で枯れ込んだ枝をピンチしたり、切り戻した関係で、手前のイングリッシュローズゾーンのバラは
樹高が低くなり、開花数も格段に少ないです。
ブルーのサルビアも2019年のように、旺盛には咲いてくれませんでした。
左側のアーチは、昨年枝を残し過ぎて暴れていたので、今年は枝数をかなり減らした関係もあって、ボリューム感は
なくなりましたが、上品に咲き揃っているので、ここはうまく行ったかなと思っています。
続いて、イングリッシュローズゾーンにフォーカスしてみます。
こちらが【一昨年2109年6月】 植栽して2年めでこの風景が現れた時は、本当に歓喜しました。
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こちらが【昨年2020年6月】 バラのボリュームがあがって見事だったのですが、ブルーサルビアが貧弱でした。
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そして、【今年2021年6月】
一昨年のブルーサルビアが旺盛に咲いた風景と、去年のバラのボリューム感ある風景が合体したような理想とする
風景が出来上がると期待していたのでですが、両方ともイマイチで、何とも残念な思いです。
湾曲する園路際の風景です。
こちらが【一昨年2019年6月】 ブルーのサルビアがバラの背丈を越えて咲き、とても目立っていました。
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こちらは【昨年2020年6月】 色とりどりのイングリッシュローズが山盛りに咲いています。
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そして、【今年2021年6月】
この写真で見ると、そこそこ咲いているようにも見えますが、京北バラ園の中で最も密にバラを植栽しているゾーン
なので、ここのエリアでの開花ボリュームがバラ園に入ってすぐの場所なので、とても重要になってくるのです。
続いて、メインエントランスゲート方向を見てみましょう。
こちらが【一昨年2019年6月】 まだイングリッシュローズが小さく、所々に土の面が見えているのが分かります。
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こちらが【昨年2020年6月】 土の面が見えないほど密集してイングリッシュローズが咲いて、見事でした。
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そして【今年2021年6月】
このアングルで見ると、土の面が見えるだけでなく、凍害の影響で切り戻したりピンチしたため、
ほとんど開花していない状況です。
同じアングルで見比べると、状況の深刻さが良く分かります。
続いて、湾曲する園路からエントランス方向を見てみます。
こちらが【一昨年2019年6月】 鮮やかな色彩のイングリッシュローズとブルーのサルビアの対比が美しいです。
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こちらが【昨年2020年6月】 まさにコンセプトである水が滝のように流れ落ちる様をバラの花で表現しています。
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そして、【今年2021年6月】
どのアングルから見ても、今年はとても淋しいイングリッシュローズゾーンでした。
もちろん、うまく行かなかったところばかりではありません。
年々バラが成熟して、誘引技術も向上して、美しい風景を安定的に作り出せているエリアもあります。
京北バラ園の代名詞とも言える、群星・群舞の滝ゾーンです。
こちらが【一昨年2019年6月】 擁壁部分に枝垂れ咲くように誘引していますが、まだ密に咲いていません。
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こちらは【昨年2020年6月】 擁壁部分を覆い隠すように密に咲き、堰を流れ落ちる水のように見えます。
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そして、【今年2021年6月】
ほぼ昨年同様、それ以上にボリューム感のあるバラの滝が出現しています。
この風景を作るために、スタッフの皆さん方が誘引方法を試行錯誤しながら頑張ってくれています。
続いて、バラ園西端に設置している八連アーチ
こちらが【一昨年2019年6月】 長尺のつるバラを植栽しましたが、まだほとんどアーチの頂部に届きません。
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こちらは【昨年2020年6月】 ほとんどのつるバラがアーチの頂部に届きましたが、勢いが強すぎて暴れています。
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そして、【今年2021年6月】
誘引時に枝数を減らし、開花期のボリュームを抑えました。
何本かのバラが開花期が合わないため、移植・植え替えを実施しています。
こちらは、あまりうまく行っていないゾーン。
前面道路の駐車場側の木製フェンスで、和の雰囲気のつるバラを集めたエリアです。
こちらは【2019年6月】 木製フェンスの中央でうまい具合に花がまとまって咲いてくれています。
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こちらは【昨年2020年6月】 旺盛につるを伸ばした割りに花数も少なく、まばらな咲き方です。
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そして、こちらが【今年2021年6月】
フェンスの中ほどにほとんど花が咲いていません。
このエリアは、木フェンスの裏側に駐車場があり、つるバラを誘引している面は北側になります。
そのため、バラは光を求めてフェンスの上へ伸びようとするのですが、初年度はうまく行っていたのです。
このあたりは、この冬の誘引時の課題になるかと思います。
最後はこちら、休憩スペースを兼ねた家型のパーゴラ。
こちらが【一昨年2019年6月】 壁面に誘引したつるバラランブリングレクターが旺盛に茂っています。
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こちらが【昨年2020年6月】 旺盛なつるバラを何とかこの壁面に収めるべく、苦労して誘引してもらいました。
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そして、こちらが【今年2021年6月】
旺盛につるを伸ばす白い花が咲く大型のつるバラ・ランブリングレクターを、壁面に抑え込むことをやめ、
屋根の上に載せるように誘引方法を変えてもらいました。
屋根の上の登っての誘引作業が必要になり、難易度は格段に上がるのですが、
その分、家のような形が浮き彫りになり、とても良い風景が生まれました。
如何でしたでしょうか?
数年にわたって定点観測しておくと、バラの成長具合が把握できるだけでなく、誘引の方法や日々のメンテナンス
など、様々な課題や成果が比較して分かるようになります。
今年こそは理想とする風景に出会えると期待していたのですが、その夢見る風景はまた来年に持ち越しです。
来年こそは、当初このバラ園を設計した際にイメージした理想の風景を作り上げたいと思っています。
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【 京北・香りの里 六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)について 】
住所:京都市右京区京北比賀江町口烏谷(くちからすたに)
(京北にある皇室ゆかりの御寺・常照皇寺に向かう国道477号線の左側にあります。)
2022年・オープンガーデン情報
開催期間:令和4年5月27日(金)~令和4年6月5日(日)の10日間限定
開園時間:9:00~16:00 駐車場:7台あり
※ 「維持管理協力金」についてご協力のお願い
当園は個人の私庭であり、有志ボランティアにより維持管理されています。
昨年(令和3年)までは、庭主のご厚意により、無料で一定期間開園しておりましたが、
昨年本年度より、入園されるお客様から、お一人500円の「維持管理協力金」をお願いしております。
皆様から頂戴いたしました「協力金」は、バラ園の今後の永続的な維持を目標とした
園内のバラの育成・保護、資材購入、園内の整備等に使用させていただきます。
ご理解ご協力の程、お願い申し上げます。
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