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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

TOKYO PARK GARDEN AWARD のモデルガーデンの考え方 その2

吉谷桂子

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Fundamentals 植栽設計の基本的なデザインの構成要素は、

さまざまな個性を持った植物の組み合わせ です。

しかも、それが栽培環境にあった植物によって構成されている必要があります。

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視覚的に喜びをもたらすような効果的な組み合わせを行うには、使用する植物の視覚的な特徴を理解すること。

ナチュラリスティック・プランティングでは、より長いシーズンにわたって私たちがひとつの植物を鑑賞するため、これ(視覚的な特徴)が主な焦点になります。

芽出しから枯れるまで。

花が満開で咲いている時だけが鑑賞ポイントではない.... のです。

特に秋のシードヘッド(植物の結実したところ)やオーナメンタル。

グラスの表情は、このような自然の庭を愛するものには、多くの喜び、思想、夢想の楽しみを与えてくれますが、一部の人にとっては、ただの枯れた植物にしかみえないようなところもあります。だから、難しいのです。

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先日の人気テレビ番組「マツコの知らない世界」でも、私が撮った写真で、何日もかけて探し出したいくつかの写真動画の中から、中之条ガーデンズの秋の庭をご紹介いただきましたが、マツコさんから「激渋!」「でも、こんなのが流行っているのね」との評価をいただきました。

直感的な反応であり、それも一理あり。 しかし、私自身は流行りではなく、四半世紀前からこの感じが好きだったので

仕事の際には 「理解の度合い」と「T P O 」を注意深く適用しています。

1997年にNHK BSの番組で「秋のイングリッシュガーデン(茶色も庭の色)」のご紹介をした時から変わっていない。

しかしそれがようやく、徐々に日本でも理解の入り口に。

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引き続き、ナチュラリスティック・ガーデン、現在、私がベースにしている4つのコンセプトから

というわけで、1 Pleasant experinceは深い話で簡単に表現できないので、それぞれの方々が思うところを言葉にしてみてほしい。

2 Maintenance friendlyは文字通り

3 Biodiversity
 生物多様性
4 Durable
 耐久性
 
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3 Biodiversity 生物多様性、園芸的には、害虫も含めて、多様な生物の容認が基本です。
庭には、野鳥たカエルや昆虫いろいろ。でも、困るのがモグラやカラスとか、都会にはいませんが、自然が豊かな地域だとシカとかアナグマとか。困りもの多し。
それでも、道を探していく。というような。
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これはひょっとすると、私の個人的な経験ゆえの見解になってしまうのですが、
1992年2月から7度の春夏秋をイギリスのロンドンに住み、ガーデニングを初歩から経験した、その時、幸い周囲にオーガニック・ガーデニングに熱心な人たちがいたことと、イギリスのガーデニングの流れがオーガニックに向かっていたので、オーガニック・ガーデニングは、当たり前のことでした。最初の常識がオーガニックから始まったので、日本での常識を知らなかった。
アブラムシやナメクジをオーガニックに駆除する方法を金曜日の8時、ゴールデンアワーで放送するようなお国柄。
日本よりも涼しいし、藪蚊もいない害虫も比較的に少ない環境です。
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ところが、日本の自然とくに夏は、生やさしくない印象です。日本から園芸書を送ってもらうと、園芸書の多くには、病気がでたら対処的にこんな薬、農薬を使えばよいとたくさんの情報が本にでていました。その通りにしないととんでもない目にあうのだろうか。と、恐れてもいました。
病気にも害虫にもさまざまな種類があり、すでに温暖度の高さはイギリスとは比較できない。さらに高温多湿なので、当時、夏はわりに低温乾燥のイギリスで健康に育つ品種が日本で真っ当に育つのは難しいところも多々ありましたが、最近では、これはダメでもこっちは大丈夫。とのバリエーションが増えました。
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誰かのアドバイスも役にたつけれども、それぞれの地域でかなり異なる。結局体験で理解していくほかないので、この意識をもって前に進むという結論です。容認事項もいろいろあり。
自分も生き物で、生き物どうしの同士のバランスを
どうとるか。
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4 Durable その環境にあって丈夫で健康的に育つ植物を選ぶこと。
特に 「長生きの宿根草」や大きくなりすぎない灌木樹木をうまく取り入れて
日本の長い園芸の歴史で、それがどういう植物なのかは、実はかなりわかっているのに、灯台下暗し。
な感じがしたのは、イギリスから戻って、日本の在来種の植物は多種あって、それもそれぞれに美しいので、どのように取り入れるのか。そこで、冒頭に描いたこと。

Fundamentals 植栽設計の基本的な構成要素は、さまざまな個性を持った植物の組み合わせ。

それが栽培環境にあった植物によって構成されている必要があります。

視覚的に喜びをもたらすような効果的な組み合わせを行うには、使用する植物の視覚的な特徴を理解すること。

人生の学びに終わりがないことを痛感する、庭への視点です。

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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


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