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専門家「風景」をつくるガーデニング術

「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭(京北バラ園)」オープンガーデン2025

居場英則

早くも7月も終盤ですが、今年の5月下旬〜6月中旬にかけて実施した、僕がガーデンデザインを担当させて

もらったバラ園、「京北・香りの里/六ヶ畔・花簾庭」(通称:京北バラ園)のオープンガーデンの様子を

ご紹介したいと思います。

京北バラ園は、京都市中心部から車で約1時間ほど入った、里山風景が色濃く残る京北地域にできた個人庭です。

オーナーの好意により、毎年この時期、オープンガーデンを開催させていただいます。

京北は冷涼な気候で、京都市内より半月〜1ヶ月近くバラの開花が遅く、例年5月下旬〜6月中旬の3週間、

週末の土日6日間、オープンガーデンを開催しておりますが、今年は日程の関係から4週間8日間開催しました。

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朝9時〜夕方16時まで見学することができます。

僕が見に行ったのは、オープンガーデン開始2週目の5月31日(土)でした。

ちょうど見頃を迎えていました。

京北バラ園は、国道に面した4枚棚田の休耕田の1枚目、約300坪の田んぼ一枚分に作られています。

元々田んぼだった場所なので、フラットで全体が見渡せる広さとなっています。

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園内には、大きく湾曲するメインの園路を作っており、その園路のカーブに沿って、

バラの花を引き立てるブルーのサルビア(品種:ブルーヒル)一種類だけを植栽しています。

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バラ園の隣には、元茶寮だった平屋建ての建物(右端)があり、

現在は、茶店として、オープンガーデン開催時には、お茶や茶菓子を提供しています。

その茶寮の切妻屋根の建物の景観に合わせ、園内には、切妻屋根型の木製のパーゴラをデザインしています。

屋根や壁面につるバラを誘引して、フラットな敷地の中に立体的な景観を作るための装置としています。

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京北バラ園は、京都の奥座敷、京北の里山風景に馴染むような、「和の趣きのバラ園」ということを

デザインコンセプトに掲げて設計しています。

ちょうど、バラ園の借景となる場所に、茅葺き屋根の日本家屋が見えています。

ここも、京北バラ園のオーナーの所有となり、昨年まではオープンガーデンの時期に合わせて

茅葺屋根の建物の中でお茶会が開催されていましたが、今年は残念ながら開催されませんでした。

京北バラ園のもう一つの見せ場が、棚田の段差を活用した「バラの滝」です。

バラ園のすぐ近くを流れる上桂川に「六ヶ堰」(ろっかせき)という、小さな水を堰き止める滝のような

景勝地があるのですが、そこからインスピレーションを得てデザインしました。

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この日もたくさんの方が見学にお越しなっていましたが、バラ園のスタッフが、色々とバラの品種の説明をしたり、

バラ園の見どころなどの案内もしています。

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こちらが、京北バラ園の一番の見せ場、「バラの滝」です。

群星・群舞という日本のつるバラで、白(群星)と淡いピンク(群舞)の花をランダムにミックスさせて、

堰(滝)を流れ落ちる水を、バラの花で表現しています。

棚田の段差を活用していますので、3m以上の高さから、水が流れ落ちてくるような感じに見えます。

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その「バラの滝」ゾーンの手前には、香りの強い品種を中心に集めた「オールドローズゾーン」を設けています。

その中央に、シンボルツリーとして「エゴノキ」を植えています。

バラの開花期と同じく、ちょうど白い花を無数に咲かせ、とても綺麗です。

見学者の方にも、よく「あの白い花が咲いている木はなんですか?」と聞かれますが、

とてもシンボリックで樹形の美しい樹です。

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こちらは、バラ園のメインエントランス方向を見たアングルです。

神社の鳥居のようなゲートがメインエントランスで、ここにも「和の趣き」を表現しています。

エントランス付近には、花色の鮮やかなイングリッシュローズを植栽しています。

大きく育った株姿もあれば、残念ながら弱って枯れてしまった株もあり、

少しボリューム感が減ってしまっているのが気になります。

今後、補植するなどの検討が必要なエリアといえます。

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こちらは、管理用道路につるバラを誘引する八連の大型アーチを設けたエリアです。

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奥の棚田エリア(画面左側)に、重機などの工事車両の出入りができるようにした管理用の通路ですが、

そこに家型をした大型アーチを八本を設けて、トンネル状にしています。

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この家型の八連アーチも、「和の趣き」を意識してデザインしています。

バラ園にあるつるバラを誘引するための一般的なアーチは、ほとんどが半円弧状になっていますが、

ここ京北では、里山風景に調和するよう、切妻屋根を模した不等辺三角形(左右非対称)のオリジナルデザインで、

地元・京北のアイアン作家の方に、製作していただきました。

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再び、エントランス付近から、バラ園全景を見渡してみます。

よく見ると、メインの園路にワンちゃんがいるのが分かりますか?

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こちらの写真にも写っています。

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京北バラ園では、ワンちゃんも見学者と一緒に入場することができます。

京北バラ園の近くにドッグランがあるのですが、そのためか、犬を連れて来場される方が結構いらしゃいます。

そんな方々が、愛犬とバラを一緒に写真に納めようと、自前で折りたたみチェアを持ち込んで、

おめかしをしたワンちゃんを撮影しておられました。

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こちらの「バラの滝」ゾーンでも。

バラと一緒に撮影ができるということもあってか、多くの犬好きの方にご来場いただいています。

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いかがでしたでしょうか?、今年2025年の京北バラ園。

あいにく開催期間中、天候の悪い日が何日かありましたが、多くの方にご来場いただきました。

ありがとうございました。

京北バラ園のオープンガーデンは、春の季節のみ開催しています。(一季咲きのバラが多いため。)

是非また来年2026年もオープンガーデンを開催させていただく予定ですので、

是非、京北バラ園にお越しいただけましたら幸いです。


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居場英則

『進化する庭、変わる庭』がテーマ。本業は街づくりコンサルタント、一級建築士、一級造園施工管理技士、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。土面の殆どない庭で、現在約120種類のバラと、紫陽花、クレマチス、クリスマスローズ、チューリップ、芍薬等を育成中。僕が自身の庭を創り変える過程で気づいたこと。それは、植物の持つデザイン性と無限の可能。そして、都市部の限定的な庭でも、立体的な空間使用、多彩な色遣い、四季の植栽の工夫で、『風景をデザインできる』ということ。個々の庭を変えることで、街の風景も変えられるはず…。『庭を変え、街の風景を変えること』が僕の人生の目標、ライフワーク。ーー庭を変えていくことで人生も変えていくchange my garden/change my lifeーー

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